【基礎から始める線形代数】行列についての基礎【大学講義】

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exam 基礎から始める線形代数
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はじめに

大学の講義ってわりと広い部屋で全然板書が見えなかったり、知ってる前提で進んだりと置いてかれる要素がたくさんありますよね。

単位を取るために試験を頑張るというのも卒業をメインに考えれば良いことですが、折角なので線形代数の分野に少し手を出してみませんか?

「基礎から始める線形代数」では大学の講義を全く受けていなくても線形代数を理解できるようになることを目的に連載していきます。

行列って何?

行列とは複数のデータをひとまとまりに扱えるようにしたもので、数や記号などを行(横並び)と列(縦並び)で並べて次のようにカッコで括ったものをいいます。

\(A = \begin{bmatrix}a&b&c \\ d&e&f\end{bmatrix}\)または\(\begin{pmatrix}a&b&c \\ d&e&f\end{pmatrix}\)

この行列\(A\)は行が2つ、列が3つで構成されているので「\(2\times 3\)行列」または「\(2\times 3\)型の行列」といいます。

行と列の順序と成分について

ここでは、次の行列\(A\)を例として説明します。

\(A = \begin{bmatrix}a&b&c \\ d&e&f\end{bmatrix}\)

行は上から順に、第1行,第2行,…と数えます。

例えば、上記の行列\(A\)の第1行は次の通りです。

\(\begin{bmatrix}a&b&c\end{bmatrix}\)

列は左から順に、第1列,第2列,…と数えます。

例えば、上記の行列\(A\)の第2列は次の通りです。

\(\begin{bmatrix}b \\ e\end{bmatrix}\)

また行列を構成する要素「\(a,b,c,d,e,f\)」のことをそれぞれ成分といい\(i\)行\(j\)列の成分のことを\((i,j)\)成分と呼びます。

例えば、上記の行列\(A\)の\((2,1)\)成分は\(d\)です。

行列の一般形

行列\(A\)を\(m\times n\)行列(\(m,n\)は自然数)とした時、行列\(A\)の\((i,j)\)成分を\(a_{ij}(i = 1,\cdots, m; j = 1,\cdots, n)\)とすると行列\(A\)は次のように表す事ができます。

\(A = \begin{bmatrix}a_{11}&a_{12}&\cdots&a_{1n} \\ a_{21}&a_{22}&\cdots&a_{2n} \\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ a_{m1}&a_{m2}&\cdots&a_{mn}\end{bmatrix}\)

特徴を持つ行列

ここでは、特徴を持つ行列の中から頻出なものをいくつか紹介します。

零行列

全ての成分が0である行列のことです。

単に\(O\)と書かれている事が多いです。\(m\times n\)行列ということを明示する場合、\(O_{m,n}\)のように書きます。

\(O_{2,3} = \begin{bmatrix}0&0&0 \\ 0&0&0\end{bmatrix}\)

注:\(2\times 3\)行列はあくまで一例です。どんな行列でも全ての成分が0であれば零行列です。

正方行列

行と列の数が等しい\(n\times n\)行列のことです。nのことを次数といい、n次正方行列と呼びます。

\(A = \begin{bmatrix}a_{11}&a_{12}&\cdots&a_{1n} \\ a_{21}&a_{22}&\cdots&a_{2n} \\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ a_{n1}&a_{n2}&\cdots&a_{nn}\end{bmatrix}\)

正方行列の左上から右下にかけて斜めに並ぶ\(a_{11}, a_{22},\cdots, a_{nn}\)の成分のことを対角成分と呼びます。

対角行列

正方行列のうち、対角成分以外の成分が全て0の行列のことです。

\(\begin{bmatrix}3&0 \\ 0&-2\end{bmatrix},\begin{bmatrix}0&0&0 \\ 0&4&0 \\ 0&0&1\end{bmatrix}\)

スカラー行列

対角行列のうち、対角成分が全て等しい行列のことです。

\(\begin{bmatrix}2&0 \\ 0&2\end{bmatrix},\begin{bmatrix}-3&0&0 \\ 0&-3&0 \\ 0&0&-3\end{bmatrix}\)

単位行列

スカラー行列のうち、対角成分が1の行列のことです。

単に\(E\)と書かれている事が多いです。次数を明示する場合には\(E_{n}\)と書きます。

\(E_{n} = \begin{bmatrix}1&0&\cdots&0 \\ 0&1&\cdots&0 \\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ 0&0&\cdots&1\end{bmatrix}\)

転置行列

行列\(A\)の行と列を入れ替えてできた行列を行列\(A\)の転置行列といい\({}^t \! A\)と書きます。

行列\(A\)を

\(A = \begin{bmatrix}a_{11}&a_{12}&\cdots&a_{1n} \\ a_{21}&a_{22}&\cdots&a_{2n} \\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ a_{m1}&a_{m2}&\cdots&a_{mn}\end{bmatrix}\)

とすると転置行列\({}^t \! A\)は次のようになります。

\({}^t \! A = \begin{bmatrix}a_{11}&a_{21}&\cdots&a_{m1} \\ a_{12}&a_{22}&\cdots&a_{m2} \\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ a_{1n}&a_{2n}&\cdots&a_{mn}\end{bmatrix}\)

ここで転置行列の転置は元の行列になることから\({}^t \! ({}^t \! A) = A\)という関係も覚えておきましょう。

確認問題

次の行列\(A\)について答えよ。

\(A = \begin{bmatrix}2&5&3 \\ -2&4&-1 \\ 0&7&-8 \\ 9&3&6\end{bmatrix}\)

問一:行列\(A\)の\((2,1)\)成分と\((3,3)\)成分はなにか。

問二:転置行列\({}^t \! A\)を求めよ。

問一解答:\((2,1)\)成分は\(-2\)。\((3,3)\)成分は\(-8\)。

問二解答:\({}^t \! A = \begin{bmatrix}2&-2&0&9 \\ 5&4&7&3 \\ 3&-1&-8&6\end{bmatrix}\)

最後に

今回の内容はここまでです。

物足りないと感じた方には申し訳ないですが、細かく区切った方が勉強しやすいかなと思ってこうなりました。

行列の演算についてはまた次の記事にしたいと思います。

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